最近は「若者の車離れ」という言葉をよく見かけます。
大阪や東京などのインフラの発展した地域では、実際に車がなくても生活することは可能です。
しかし、地方になると、車がないと生活できないという人も多いのが現状です。
親には免許を返納して欲しい、でも車がないと、生活がしていけない。
そう考えて、免許返納の説得ができない家族も多いでしょう。
そんな中で、話題になったのが「池袋高齢者暴走事故」です。
この事件をきっかけに、自分の親も免許を返納した人もいると思います。
暴走老人という言葉が話題になり、一時期は暴走老人のニュースばかり取り上げられるようになりました。
とはいえ、自分の親に免許返納の話をするのもなんだか気が進みませんよね。
今回は、免許の返納とは何か?
何歳ぐらいから考えた方がいいのか?
ということにお答えしたいと思います。¥
免許返納とメリットについて
免許返納制度とは、体力的な不安や認知症を理由に自主的に免許を返納することです。
あくまでも自主的にということですので、本人の同意が必要となります。
運転免許を返納すると身分証明書がなくなって困るという人も安心してください。
免許を返納することによって、「運転経歴証明書」というものが発行されます。

運転経歴証明書は見た目も免許証に近く、身分証明書として使用することが可能です。
また、運転経歴証明書を掲示することによって、様々なお店で特典を得られるというメリットがあります。
特にスーパーの宅配が安くなるサービスは、高齢者にとっては魅力的なサービスとなるでしょう。
東京の自主返納特典
免許の返納を検討している人は各都道府県警察の免許センターに問い合わせてみてください。
認知症になる年齢の目安とは?
親に自主返納をして欲しいけれど、いつぐらいから自主返納をしたらいいのかわからない?
自主返納について考えた時に目安となるのは70歳ぐらいではないかと考えています。
リンダグラットン著 「LIFE SIFT-100年時代の人生戦略-」によると高齢者の認知症の確率というのは次のようになります。
60歳以上の1%
75歳以上の7%
85歳以上の30%
「池袋高齢者暴走事故」の加害者は88歳でしたので、さすがに自主返納をした方が良い年齢です。
車の危険性を考えると、7%でも高いのではないかと感じます。
また、介護をしていた経験から言わせてもらうと、認知症というのは物忘れ以外の症状もあります。
- 簡単な計算ができなくなる。
- こちらが話している説明が理解できなくなる。
- 感情的になることが多くなる
これらは物忘れより前におこる認知機能の低下になりますので、少し早めに話ぐらいはしておいた方が良いでしょう。
高齢者の死亡事故
交通事故の死亡率というのは飲酒運転の取り締まりや、車の高性能化により年々減少傾向にあります。
しかし、高齢者の交通事故というのは深刻な状況です。
平成30年度の警察庁の発表によると次のようになります。
平成30年における交通死亡事故の特徴等について
報道発表資料の概要
https://www.npa.go.jp/news/release/2019/20190212001jikosibou.html
○ 交通事故死者数は減少傾向(3,532人)。
人口10万人当たり死者数も同様に減少傾向。
高齢者の人口10万人当たり死者数は全年齢層の約2倍。
○ 全死者数の約半数が歩行中又は自転車乗用中の死者。
・うち約7割が高齢者。
・うち約3分の2に法令違反あり。
注目すべき点では
死亡率は全年齢の約2倍
歩行中、自転車常用中の死者の7割が高齢者。
ということです。
また、自動車事故が減っている中で、高齢者の自動車免許保有者数と死亡事故数は増加傾向にあります。
高齢者が交通事故を起こしたら、誰の責任?
認知症の高齢者が事故を起こした場合は責任無能力者ということで、損害賠償の対象にならない可能性が高いです。
しかし、場合によっては、車の所有者の責任や監督責任能力を問われる可能性もあるので、身近に認知症の疑いがある高齢者は免許証の返納を検討した方が良いでしょう。
監督義務者の責任
監督義務の原則は善良なる管理者の注意(第400条)である。具体的には責任無能力者の性質・自己直前の行動等から加害行為のおそれが感知される場合においてこれを防止する義務、そして責任無能力者の生活行動に対する包括的一般的な身上監護義務についてである。
監督義務者等の責任は、監督義務者等がその監督義務を怠らなかったとき、あるいは、監督義務を怠らなくても損害が生じたであろう場合には責任を免れる(民法第714条1項但書)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/監督義務者の責任
仮に損害賠償は免れることはできたとしても、「池袋高齢者暴走事故」のように社会的に問題になってしまう場合もあります。
その後の人生に大きな問題を抱え込むことになりますので、早めに対策しておくことが必要です。
まとめ
自分の親と認知症のことについて話すのは、誰でも嫌なことです。
ですが、車の運転をするということは、その手に凶器を握っているのと同じだということも忘れてはいけません。
70歳になったら、一度自分の家族と今後の人生について話し合ってみてはどうでしょうか?
