介護の業界で働いている人は一度は「この業界闇が多いな・・・」と思ったことがあるのではないでしょうか?
実際に介護の業界は3Kと言われることも多く 「臭い、汚い、給料が安い」と言われており、給料の安さが問題にもなっています。
高齢化社会というのは確実に迫ってきていることであり、1日でも早く高齢者が安心してくらせる社会を実現しないとけないと思うですが、その待遇の悪さから介護職員が足りないのが現状です。
また、職場環境の悪さによるストレスも多いのか、虐待事件がニュースで話題になることもあり、介護業界に対してあまり良いイメージを持っていない人も多いです。
僕としてはあまり介護業界のネガティブな話はしたくないのですが、業界にある問題に対して無視してしまうことも良くないと思います。
それで、今回ブログの記事を書くために色々と調べていたら悲しいことにまた新たな介護業界の闇を見つけてしまいました。
介護資格多すぎ問題
今回見つけてしまった闇というのは「介護資格が多すぎる」という闇です。
介護の業界で働くためにまずは「初任者研修」という資格を取る人が多いと思います。
僕も働く前に取りましたし、この資格がないと働けないという施設も多いのではないでしょうか?
その後に給料を増やすためにはどうすればいいのかということを色々と調べていくと思うのですが、その中でいろいろな資格があることがわかります。
僕は資格の種類が多すぎて、どの資格を取ればいいのかということがわからなくなってしまいました。
特に民間資格はかなりの量があるため、どれくらい多いのかということをまとめてみました
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介護の民間資格一覧
介護士資格名 | 運営団体 |
レクリエーション介護士2級 | 日本アクティブコミュニティ協会 |
レクリエーション介護士1級 | 日本アクティブコミュニティ協会 |
レクリエーション・インストラクター | 日本レクリエーション協会 |
レクリエーション・コーディネーター | 日本レクリエーション協会 |
福利レクリエーション・ワーカー | 日本レクリエーション協会 |
認知症ケア専門士 | 一般社団法人 日本認知症ケア学会 |
認知症ケア上級専門士 | 一般社団法人 日本認知症ケア学会 |
認知症ケア指導管理士 | 一般財団法人 職業技能振興会 |
上級認知症ケア指導管理士 | 一般財団法人 職業技能振興会 |
認知症ライフパートナー3級 | 一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 |
認知症ライフパートナー2級 | 一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 |
認知症ライフパートナー1級 | 一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 |
認知症介助士 | 日本ケアフィット教育機構 |
スマート介護士 | サンタフェ総合研究所 |
認定介護福祉士 | 一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構 |
介護予防運動指導員 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター |
改めて並べてみるととても多いですね。
こちらの表はあくまで今回見つけることができた資格なので、他にも民間資格はあると思います。
民間資格では給料は上がらない
今回は数多くの介護民間資格を一覧にまとめましたが、これらの資格を取得したとしても給料はあがらないと考えておいたほうがいいでしょう。
なぜなら、これらの民間資格を取得したとしても、国が認めた資格でないものに関しては事業所側としても査定に反映づらいからです。
認知症ケア関連の資格やレクリエーション関連の仕事が今の事業所でどのように活かせるのかがわからない以上評価ができませんし、資格取得するために本業の仕事がおろそかになってしまっては本末転倒だからです。
もちろん、これらの民間資格を取得することを支援して給料の査定に反映してくれる事業所もあるとは思いますが、多いわけでは無いので注意が必要です。

民間資格を否定するわけではない
民間資格について少し、ネガティブな話をしましたが「民間資格を取るな」というつもりは決してありません。
これらの民間資格を目標として勉強をし、知識を深めることで今の仕事の質をより良いものにしたり、後輩の指導に役立てたりすることはとてもいいことだと思います。
そのような目的で民間資格を取得をするのであれば問題はありませんが、資格を取得するというのは仕事をするための手段であり目的になってはいけません。
介護の問題に答えはない
また、これらの介護資格の特徴として「問題に対して明確な答えが存在しない」ということが挙げられます。
介護サービスの利用者というのは本当に多種多様なため、状況によって認知症の対応の仕方は変わってきます。
レクリエーションに関しても運動が好きな利用者もいれば、工作が好きな利用者もいます。
もしかするとレクリエーションに参加すること自体が億劫な利用者さんもいるかも知れません。
それに対して、出題者側が用意した模範解答を覚えることが介護の仕事にどれだけ役に立つのかはわかりません。
その点も民間資格が事業所で評価されない点だと思います。
もし、英語や簿記、法律の資格であればそこに明確な答えがあるので資格を持っている人がどれだけ理解しているのかというものさしになります。
介護の資格は評価のものさしに使えないものが多いのです。
本当に重要な資格がわからないことが問題
そして、一番の問題はこれらの民間資格が乱立しすぎてしまった結果、本当に必要な資格がわかりづらくなってしまっているという点です。
民間資格というのはあくまでも売上を得るためにやっています。
もちろん、公共の利益になるようにと言う目的はありますが、それでも売上を出すことができなければ運営することができなくなります。
その結果民間資格というのは介護スクールで目につきやすくなったりメディアに取り上げられることが多いです。
逆に介護の運営に必要な資格というのは自治体が研修を行なっていることも多く、必要な人は最低限の告知をすれば取りに来るためあまり目につく機会が少ないです。
必要な資格がわからないというのは、介護業界にとってあまり良いことではないと思います。
本当に必要な介護資格とは?
先程は民間資格について説明しましたが、ここからは本当に必要な介護資格に関して説明したいと思います。
僕は介護福祉士の資格を持っていますし、その資格を利用して「サービス提供責任者」をやっていたこともあるため、介護加算に関しては一般職員よりも詳しいと思います。
施設の運営からみて、どのような人の給料なら上げても良いと考えるかについて説明していこうと思います。
介護加算や事業所運営の要件に該当するか?
給料を上げてもよいと考える資格はシンプルに1つだけです。
「介護加算や事業所運営の要件に該当するか?」
ということだけです。
たとえば、介護福祉士の資格は国家資格ですのでもちろん資格としての勝ちは高いわけですが、介護福祉士というのは介護事業所を運営するのに必要な資格です。
たとえば、デイサービスの場合には運営するために以下のような人員基準があります。
通所介護サービスを提供するために必要な職員・設備等は次のとおり
・生活相談員(社会福祉士等)
・看護職員(看護師・准看護師)
・介護職員
・機能訓練指導員
・生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168705.pdf
厚生労働省「通所介護及び療養通所介護(参考資料)」
ここで、生活相談員という役職がでてきます。
施設で働いている人は自分が働いている施設にもいると思います。
生活相談員の資格要件は以下のようになります。
【生活相談員資格要件】
1.社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者
2.介護福祉士(H27.4.1から)
3.介護支援専門員(H27.4.1から)
https://www.pref.osaka.lg.jp/koreishisetsu/kaigohokennshisetu/seikatsusoudanin.html
「大阪府/生活相談員の資格要件について」
つまり、介護福祉士は生活相談員になれるということです。
こちらはあくまでもデイサービスの運営基準になるため、他のタイプの施設だとまた変わってくるわけですね。
現在、日本中でサービスを行なっている施設はそれぞれこの運営に必要な人員基準を満たしているわけです。
もし、何らかの理由で介護福祉士を持っている職員がいなくなって、その後も見つからなかった場合はどうなるかというと、介護報酬の返還や最悪の場合には自治体からの指定・許可が取り消されるため施設を閉鎖しなければいけません。
それは運営側としても困るため、他の職員よりも給料を上げてもよいということになるのです。
必要な介護資格は3つだけ
では、介護資格の上で先程の運営基準に関係してくる介護資格は3つだけになります。
察しのいいかたはおわかりだと思いますが、答えは上に書いていますね。
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
この3つだけです。
社会福祉士と介護支援専門員は現場の職員がいきなり取得することは無理なので、介護施設の現場で働いている人が目指すべき資格は「介護福祉士」だけになります。
つまり、介護資格の中でも介護福祉士は給料の上がりやすい資格になるというわけです。
「研修」も重要
また、介護には「〇〇研修」と名のつくものも多いです。
介護加算の観点から考えると、資格よりもこちらの研修を知っておくとよいです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 喀痰吸引等研修
- 同行援護従業者養成研修(ガイドヘルパー)
- 行動援護従業者養成研修
- 認知症介護基礎研修
- 認知症介護実践リーダー研修
これらの研修は受けた人だけができる仕事があったり、運営の基準や介護加算に関わってくる研修なので、一度チェックしておくことをおすすめします。


民間の介護資格の活用法
さて、ここまで民間資格に関するネガティブな情報ばかりをお伝えてしてましたが、民間資格も目的意識をしっかりと持って取得するメリットが大きいです。
例をあげるのであれば次の3つの目的があると思います。
自己研鑽が目的であること
まずひとつは自己研鑽が目的であることです。
自分の給料を上げることが目的ではなく自分の知識や仕事のモチベーションにつなげるめに民間資格を利用するということです。
もちろん、それだけ熱意のある職員であるということが今働いている施設で認めてもらうことができれば、相談員に声がかかり運営に携わる機会を与えられる。
つまり出世することができるかもしれません。
後輩の指導のために勉強をする
上の理由と似たところはあるのですが、仕事をする上であまりにも知識が浅いと後輩にも示しがつきませんし、なぜこの仕事が必要なのか?
ということに対して理屈で説明する必要があるときもあります。
筆記試験というのは日常の事例を言語化するということには適しているため、後輩に言葉で説明するときには役にたちます。
また、資格を持っているということはそれだけ熱心な人だと思ってもらえるので後輩からの信頼も得やすいでしょう。
人に教える経験をいかして介護スクールの講師を目指してみることもいいかもしれません。
ブランディングのために取得する
最後はブランディングのために取得するということです。
今は、SNSや動画配信などで自分の意見や考えを気軽に発信することができるようになりました。
施設を運営するだけではなく、介護の業界をもっとより良いものにしたいと考えているのであれば、ブランド力というものがあったほうがいいです。
民間資格であっても「認知症〇〇士」や「レクリエーション〇〇」等の肩書で発信をしていれば、受け手側に「この人はしっかりと勉強をしているのだな」という認識を与えることができるので言葉に説得力をもたせることができます。
そのため、ブランディングのために民間資格を取得し、その資格を利用して発信することは賢い選択でしょう。
まとめ
今回は民間の介護資格が多いという問題についてお話をさせていただきました。
実際に僕が介護の資格を調べるなかで、本当に必要な資格ほどわかりづらく、あまり介護職員としてのキャリアアップにつながらないものほど目に付く機会が多いなと感じたことをお話させていただきました。
もちろん、民間資格も何らかの社会貢献や介護業界のために認定されている資格ですので、目的意識さえしっかり持っていれば価値のあるものになるでしょう。
介護の資格を取得する場合には本当に自分に必要な資格なのか?
ということを一度考えてみたほうがいいかもしれませんね。
